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鮮やかなタッチで暮らしを描く、「家」にまつわる傑作マンガ10選。

鮮やかなタッチで暮らしを描く、「家」にまつわる傑作マンガ10選。

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「家」は生活の基本単位。

慣れ親しんだ家族のつながりから、日常のなかの小さな発見、甘くビターな恋愛にいたるまで、私たちが人生を通じて経験するあれこれのうち、どれだけ多くのことが「家」で起こっていることでしょう。

今回は、ともすれば私たち以上に私たちのことをよく知る存在かもしれない「家」を題材に、生活者たちの内面や悲喜こもごもの人間模様を鮮明なビジュアルで描き出した傑作マンガ10選を紹介します。

“暮らし”を描く、おすすめマンガ TOP 10

1. 『おんなのいえ』鳥飼茜

東京で二人暮らしをすることになった姉妹。失恋の痛手から立ち直りたい姉の「有香」と、自由気ままながら正義感の強い妹の「すみ香」、そして時に厳しく二人を見守る大阪のお母さん。女家庭に育った人なら思わず共感してしまうようなエピソードが、繊細なタッチで描き出されます。一つ屋根の下に暮らす姉妹の情景を通じて、「女同士」というつながりの強さを教えてくれる傑作です。

2. 『アイ’ム ホーム』石坂啓

単身赴任先で記憶喪失に陥ったやり手の銀行員、「家路 久」。離婚した妻のいる懐かしい家庭と、心の通わない再婚相手とのぎこちない家庭のあいだで、「なぜ元妻と離婚したのか」「そもそも自分はかつてどんな人間だったのか」を探し求める久は、手にした沢山の「鍵」の束をもとに、失われたピースを集め続けます。

“I’m home.”とは英語で「ただいま」を表す表現ですが、1997~8年に連載されたこのマンガには、バブル崩壊を経験した日本が「大切なもの」にもう一度気づく過程が描かれています。

3. 『喰う寝るふたり住むふたり』日暮キノコ

付き合いはじめてから10年、同棲をはじめて8年になる「リツコ」と「のんちゃん」は恋人以上、夫婦未満。しかし、ただの「オノロケ漫画」と侮ることなかれ!「お互いの両親との関係」、「セックスレスの悩み」、「結婚の話題」など、ふたりが直面するイベントを男女双方の目線から描くストーリーテリングの手法によって、同棲生活のアレコレが立体的に浮かび上がってきます。

あなたが同棲中であれば「あるある!」と共感を覚えるでしょうし、そうでなくても二人を応援する気持ちから自然と恋愛スイッチが入ることでしょう。

4. 『いぶり暮らし』大島千春

同棲生活を送る「頼子」と「巡」が楽しみにしているのが、日曜日の燻製作り。「燻製マンガ」と聞けば地味な印象を受けると思われますが、このマンガの持ち味はグルメ要素のみならず、燻製の完成を待つ二人のあいだに流れる、ゆったりとした時間の描写にあります。何気ない会話や生活音など、「地味な日常」の細部にひっそりと隠されている豊かな質感を、ていねいに手間ひまかけて味わい尽くす、まさに「いぶし銀」のグルメマンガです。

5. 『おやすみプンプン』浅野いにお

宮崎あおい主演で映画化された『ソラニン』などで知られる浅野いにお氏の代表作。主人公である「プンプン」が少年から青年になるまでの、時に穏やかで時に過酷な歳月を描いた傑作ヒューマンドラマです。

写真をトレースした極度にリアルな街並みと、子供のいたずら書きのようにデフォルメされたプンプンのキャラクターデザインとの対照は斬新ですが、人物をシンプルな記号として描くことによって読者はかえってその内面風景へと引き込まれていきます。

プンプンが住まいを変えるごとに、彼をとりまく人間模様も少しづつ変わっていく点に注目して読んでみてください。ドラマを抱えているのは、主人公であるプンプンだけではありません。彼の暮らす「街」の表情もまた、多面的で豊かなものなのです。

6. 『34歳無職さん』いけだたかし

「先月勤め先がなくなった。再就職先など気遣ってくれる口もないではなかったが、まあ色々思う所あって、一年間何もせずにいようと決めた」

…そんなモノローグから始まるこのマンガの特徴は、禁欲的なまでのセリフの少なさ。

ひとり暮らしで、職もないのだから、当然おおきなストーリー展開もありません。新しく買った掃除機に一喜一憂したり、ゴミ出しのタイミングを逃してしまったり、コンビニおでんの誘惑とたたかったり…そんな些細なできごとが一話ごとに描き出されます。それでいて、ぜいたくなコマ割りのなかに描き出される「無職さん」のスローな生活風景は、けっして殺風景な感じを与えません。「無職さん」の生活をのぞき見る私たちは、彼女の無口な日常との「会話」を誘われているかのように、その静かな情感のなかに引き込まれてしまうことでしょう。

ところどころに見え隠れする、34歳ならではのドラマもぐっときます。

7. 『ホームセンターてんこ』とだ勝之

「手作り」の楽しさに目覚めた女子高生を主人公にしたDIYマンガ!とはいえど、施工会社がホームページや冊子に載せている「解説マンガ」の類とはその読後感の豊かさにおいて一味も二味もちがっています。作者は『ミスター釣りドレン』などのヒット作でしられるベテラン、とだ勝之氏。ご自身のホームページでは、とださん自ら作中に登場したグッズを実際にDIYし、その過程を写真とともに解説するなど、作品に対する深〜い愛情を垣間見ることができます。

8. 『よつばと!』あずまきよひこ

言わずと知れた「日常系マンガ」の最高峰。

少し不思議な女の子、5歳の「よつば」が大好きな「とーちゃん」と引越しをしてきたところからストーリーは始まります。はじめてのおつかいをしたり、お父さんの友達に囲まれて牧場にいったり、パンケーキを作ってみたり…そんなさりげない「初挑戦」のドキドキ感が、大好きな大人たちに囲まれて過ごした幼年期の思い出とともに蘇ります。

『よつばと!』は育児マンガか? そうとも言えるかもしれません。しかし、よつばとお父さん、さらにはそれを取り巻く大人や子どもたちが一緒になって彩り豊かな暮らしを織り上げる「家作りマンガ」と呼ぶのがより適切かもしれません。

本棚を作ったり、ペンキを塗ったり、DIYのエピソードにもほっこりします。

9. 『おおかみこどもの雨と雪』著:細田守、漫画:優

細田守監督による同名アニメ映画のコミカライズ版。

”おおかみおとこ”と恋に落ちた大学生の「花」。二人のあいだに愛の結晶である”おおかみこども”の「雨」と「雪」が生まれます。人でもあり、狼でもあるこどもたち。いずれ自分の進む道を自分で選べるようにと、家族は自然豊かな田舎町に移り住みます。

ボロボロに寂れた古民家が、花の必死の復旧作業によって人の温もりに満ちた「家」に生まれ変わっていく傍らで、”おおかみこども”である雨と雪も、「自然」と「学校」のなかで野生の世界や人間社会について学んでいく…そんな「家」と「家族」の時間経過を感じながら、”おおかみこども”二人それぞれの「成長」と「選択」を見守るように読んでみてください。

10. 『僕の小規模な生活』福満しげゆき

最後に紹介するのは、漫画家が自身の生活を描いた傑作エッセイ漫画。

売れるまでは生活が厳しく、売れてからは締め切りに追われるハードな毎日、そんな漫画家ならではの日常には、それを支えるパートナーの存在がありました。器が大きいようで小さいような、懐が深いのか卑屈なのかよくわからない福満氏のキャラクターと、短気でマイペースだけれど、愛くるしく放っておけない奥さんが織りなす生活は、「小規模」で慎ましいながらもじつに波乱万丈。

「漫画家」という職業の裏側を覗けるだけでなく、日常を切り売りするエッセイ漫画家ならではの悩みやドラマを味わうことができます。

 

暮らしのなかにドラマを見つけよう

漫画やアニメの世界には、「日常系」などというジャンルも存在しますが、今回ご紹介した作品はどれもその一コマ一コマに「暮らしの実感」が込められている名作たちです。

「家」を舞台に繰り広げられる数々の人間ドラマ。その「喜び」や「悲しみ」、あるいは「豊かさ」から「ひもじさ」にいたるまで、どれも私たちの生活とどこかで関係している感覚です。皆さんも、漫画を通じて「家」をもっと身近に感じてみませんか?

 

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