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建築家がつくる「こども部屋」。大人もよろこぶ“子どものための空間”とは?

建築家がつくる「こども部屋」。大人もよろこぶ“子どものための空間”とは?

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マイホームを考える際、悩みのタネの一つとなるのが「こども部屋」ではないでしょうか。例えば夫婦2人の家づくりであれば、最初からこども部屋を用意しておくかどうかで意見が分かれるところ。デザインに関しても、子どもらしい空間を用意したいと思う一方で、あまりに子どもっぽすぎるものは避けたいというケースも少なくないと思います。

こうした課題に、建築家はどう向き合っているのでしょうか? 今回は、多くの住宅を手がけている3人の建築家にお話を伺ってみました。

  1. リオタデザイン 関本竜太 氏
  2. 遠野未来建築事務所 遠野未来 氏
  3. アースワーク一級建築士事務所 福島透 氏

建築家がつくる「こども部屋」実例3選。

1 トンガリの家 (リオタデザイン 関本竜太 氏)

トンガリの家のこども部屋


関本竜太氏

【建築家プロフィール】
1971年埼玉県生まれ。’94年日本大学理工学部建築学科卒業後、’99年までエーディーネットワーク建築研究所に勤務。2000年~’01年フィンランド・ヘルシンキ工科大学(現アールト大学)留学。帰国後、’02年リオタデザイン設立。

公式サイト:http://www.riotadesign.com/


ご紹介するのは、「トンガリの家」という住宅の事例です。三角形の変形地に建つ家ですが、変形地ゆえにプランニングがとても難しく、リビングのプロポーションを整えた一方で、角度を持ついびつな空間が子供部屋になりました。

トンガリの家

ただ子ども部屋をこうした個性的な空間にしたことで、子どもにとっては想像力が育まれるような、特別な空間になったような気がします。上部のロフトにも上がれて顔を出すこともでき、子どもにとっても秘密基地のような領域になっているようです。

天井の小窓が遊び心をくすぐる

子ども部屋に関して皆さん共通しておっしゃるのは、「子ども部屋は小さくて良い」ということでしょうか。今は4畳もあれば十分と言われます。また「勉強はダイニングで」というのも合言葉かもしれません。リビングの片隅にスタディコーナーを設けるケースも多いですね。

大人はよく「こうあるべき」という枠を当てはめようとしますが、子どもは驚くほど順応性が高いものです。大切なのは家族との距離感。個室に閉じ込めるのではなく、リビングの一部に死角となるような場所を作るだけで、そこはもう子ども部屋になるのです。子ども部屋はその子どもの感性を信じ、自由な発想で作るのが良いと思います。

 

2 神田SU (遠野未来建築事務所 遠野未来 氏)

自然素材のこども部屋
神田SU(写真:遠野未来建築事務所)


遠野未来 氏

【建築家プロフィール】
1962年、仙台市出身。東京・神田のビルに住んで家族が体調を壊し、そこを安らげる場に改装する過程で土の建築の素晴らしさに感動。それ以降、土に還るいのちの場をめざし全国で土と左官の建築をつくっている。

公式サイト:http://www.tonomirai.com/



神田SU(写真:takeshi noguchi )

こちらは、ビルの中に土壁を使ってつくった私の自宅兼事務所。都心のビルの中で暮らすストレスをどこまで和らげることができるかを考えた、曲線と土を使った空間です。娘を2歳までここで育てたのですが、かなり感受性が豊かな子になりました。かくれんぼをしたり、いろいろな穴から向こうがのぞけたり、土や緑を手で触れたり……。

無意識にDNAに組み込まれたのでしょう、保育園を卒園するとき将来「土を耕す仕事がしたい」と答えて驚きました。


プリスクール はなはならんど(写真:遠野未来建築事務所)

こども部屋に関しては、お子様が小さな時は独立させず、リビングの一部などに家族全員が集まることができる場をつくり、成長と共にご要望があれば独立した部屋として区切ることが多いです。

自立する心が育めるよう、ひとりきりで落ち着くことができる場所。天井が低かったり、こもることができたり……小さなスケールの場所があること。一方で、灯すあかりがもれたり、家族とお互いの気配を感じることのできる部屋がいいのでは。

土壁は吸音効果があり静かな空間をつくることができます。ただしポスターなどは貼れないので、こども部屋としては壁の上の方にワンポイントでもいいかもしれません。部屋の一部に土の色があるだけでも心が落ち着きます。

 

3 LIKE A BARRAGAN (アースワーク一級建築士事務所 福島透 氏)

感性を刺激するカラフルな空間


福島透 氏

【建築家プロフィール】
1964年生まれ。東京電機大学建築学科卒業後、三輪環境計画、大建設計を経て2001年にアースワーク一級建築士事務所開設。主に住宅と福祉施設を手掛けるアトリエ系設計事務所として数々の仕事を手がける。

公式サイト:http://www.earth-work.jp/


子ども部屋の要望は子どもの成長時期により異なるものですが、今回は比較的小さなお子さまと暮らすクライアントの事例をご紹介します。

こもれるスペースと、開放的なスペースが同居

こちらは、幼稚園と小学校に通う個性豊かな2人姉妹の子ども部屋です。過去に保育園を数棟設計した経験から、「子どもの落ち着く空間は、大人の物差しで創ってはならない」ことを主眼に設計。また将来的な改修も見据え、部屋全体の天井高をたかくとり、そしてこの空間をロフトという仕切りで区切ることで、「洞窟的なこもれる空間」と「高い場所から下を望める開放的な空間」を創出しました。クライアントからは壁の色やロフトへ上がる階段など、気に入っていただいています。

LIKE A BARRAGAN

もともとお子さまが部屋にこもらないよう小さな子ども部屋を希望されており、さらに子ども部屋にかける面積配分を少なくする分、家族が集うリビング等の居住空間の充実を図りたいとの要望がありました。これは家族のコミュニケーションの重要性を考えてのご要望でしょう。

子ども部屋は、成長にあわせて臨機応変に対応できることが大切だと考えます。幼少期の子ども部屋と高校生が勉強する部屋とは別物です。どんな家でも家族とともに成長し、その時その時を快適に過ごせる“器”となる部屋づくりが大切。また受験勉強など特に集中して作業するための部屋や書斎などは北面に設けるなど、外から一定の光が入る空間をつくることで、気の散らない落ち着いた場所となり、作業効率も上げられると考えています。

 

住まい手と作り手次第で、子ども部屋はここまで見違える。

3人の建築家が語る「子ども部屋」、いかがだったでしょうか。「子どもの落ち着く空間は、大人の物差しで創ってはならない」という福島氏の言葉にもあったように、まず前提として子ども部屋はあくまで“子どものための空間”だということを忘れないようにしたいところ。一方で、土壁のお部屋ですごした遠野さんのお子さんが「土を耕す仕事がしたい」と話すようになったという例をみても、子ども部屋は「こんなふうに育ってほしい」という親からのメッセージを伝える空間だとも言えそうです。

もし自分が、子ども部屋をつくるとしたらどうするか――。子どもの目線と、親として伝えたいメッセージと、その両面からアイデアを出し、コンセプトを固めていくと良いかもしれませんね。

 

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