鍋×日本酒のマリアージュ。元杜氏からのご提案。

    鍋×日本酒のマリアージュ。元杜氏からのご提案。

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    唐揚げにはビール、チーズにはワイン……じゃあ、お鍋には?

    乾燥の気になるこの季節。風の冷たさは日に日に増すばかりで、帰り道を急ぐ足取りもいつも以上に早くなります。自宅に着いた瞬間には、お部屋のにおいに思わずホッとしてしまいます。?

    そんな冬の食卓は、この存在抜きには語れません。

    そう、「鍋」です。お待ちかねの鍋の季節がやってきました。

    食べる側はもちろん、作る側にもメリットだらけの鍋。家族のコミュニケーションに生かすも良し、友達を呼んで鍋パーティをするも良し。最近は一人鍋も流行っていますが、やはり誰かと囲む鍋は格別ではないでしょうか。

    ・・・あれ?そういえば、鍋を食べる時、何のお酒、飲んでたっけ?熱い食べ物だから、やっぱり冷たいビールが基本だけど、いや焼酎も合うだろう、チューハイなんて万能だし……

    色々と好み、そして趣向などあると思いますが、今回、eA編集部では【鍋×日本酒】を提案させていただきます。ポン酢で味わうタイプはもちろん、今や鍋の定番となったキムチ鍋とのマリアージュを楽しめる日本酒はあるのか?プロに伺ってきました。

     

    教えるのは杜氏歴6年を誇る、いわば日本酒のプロ。

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    今回、話を伺ったのは、リカー・イノベーション株式会社の青砥秀樹さん。ちなみに同社、「日本酒飲み比べし放題」という日本初の業態、「KURAND SAKE MARKET」を運営しています。

    そして、KURAND SAKE MARKETの日本酒コンシェルジュであり商品企画を担うのが青砥さん。実は彼、6年間、島根県の酒造で杜氏をやっていた正真正銘のプロ!ただの日本酒マニアでなく、丹誠込めて日本酒をつくっていた彼だからこそ、知り得ることもたくさんあるハズです。

     

    −?今日は宜しくお願いします!いやぁ、店中が日本酒だらけですね!流石、飲み比べし放題を謳うだけあります。

    青砥:お店のコンセプトとして、気軽に自由にというモットーと、まだ東京ではあまり脚光を集めていない、出回っていないような蔵元さんを紹介することも大切に思っています。

    また、当店ではいわゆる「飲み放題」ではなく「飲み比べし放題」を提唱しています。「飲み放題」にしてしまいますと、蔵元さんの想いやこだわりなどを感じて頂きにくいという思いから、そう謳っています。?

    日本酒と一言で言っても様々な種類・個性がありますから。「飲み比べし放題」というシステムで、もっと色々なお酒を気軽に楽しんでいただく機会を増やしたい、と思っています。

    − ありがとうございます。さて、今日の取材テーマですが、ズバリ、冬の鍋に合う日本酒についてお伺いしたいと思っています。

    青砥:冬の食べ物ですと、例えば「鍋などの暖かいモノには冷たい飲み物」というイメージがあるかもしれませんが……いえいえ、鍋にもお燗はもちろん合います。

    日本酒とひと口に言っても純米酒・純米吟醸など、様々な手法です。豊穣な味わいの純米酒はお肉に合わせやすかったり、白身魚などは本醸造、といったような選び方もできると思います。

    今回のテーマの鍋ですが、同じ鍋料理でもゴマだれやキムチ鍋など味付けによってもまた変わってきます。ざっくり言うと、湯豆腐などお豆腐系に合いやすいのはにごり酒です。お米の味が強く感じられるお酒は大豆の風味とも同調します。

    キムチ鍋のように辛い料理には辛口でしっかりとした味わいのお酒が合うと思います。また、最近は酸味の強いお酒も増えてきました。そうした酸味の強いお酒もキムチ鍋には合います。

    味の濃いお料理には濃いお酒を、さっぱりとしたお料理には淡麗な日本酒を選ぶと言うのが、外さないポイントかと。 早速、次は銘柄を紹介しますね。

     

    食材ではなく、ポン酢に日本酒を合わせる

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    ● 理論派、25歳の女性蔵人が手がける「特別純米石見銀山」(写真左)

    湯豆腐ですと島根県の一宮酒造さんの「特別純米 石見銀山」が合うと思います。25歳の若い女性が後継ぎとして頑張っている蔵元さんです。農業大学の醸造学科を卒業したという、まさに理論派。新時代の蔵元で、PRも積極的。常にお客さんの声を聞いて、酒造りに反映させようと奮闘していますね。もちろん、味も抜群。湯豆腐のぽん酢のテイストに対して、純米らしいテイストがきっとマッチすると思いますよ。

    ● 埼玉の若手蔵元のリーダー格が造る 「にごり酒」(写真右)

    埼玉県深谷市の滝澤酒造で造られている「菊泉 うすにごり生酒」です。若い蔵元さんの中でもスキル・人望ともリーダー格です。素晴らしいお酒ですが、まだ知名度が低いので、個人的に応援したいと思って紹介させて頂きました。

    ちなみに、「にごり」というのは、「おり」と呼ばれる、お酒を搾ったあとに残る白く濁ったお米の成分のこと。また、「生酒」とは、火入れ(加熱殺菌)をせず、酵母が生きている状態のお酒をそのまま瓶詰めしたものです。お米の成分がまだ残っているわけですから、この「にごり酒」、お米を食べているかのような感じを楽しめると思います。

    ちなみに「薄にごり」という種類もあるのですが、もっとフレッシュになります。いずれにせよ、お米の風味が強く残っているので、ぬる燗にしても美味しいと思います。

    実は日本酒、熱を加えることによって料理に合う幅が広がります。暖かくすると、眠っている潜在的な旨味が表面に露出して、味わいが増します。同じ種類のお酒をお燗と冷やで飲み比べてみると、その違いがわかると思いますよ。逆に、白身魚を使ったお料理や、お刺身などの繊細なお料理には合いにくいですね

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    キムチ鍋の旨辛に合わせる上での合い言葉は、「キレ」と「クセ」

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    ● クセや苦味が特徴的な「群馬泉 山廃本醸造」(写真右)

    青砥:キムチ鍋には、この島岡酒造の群馬泉のような「山廃(やまはい)」のお酒はよく合うと思います。山廃の説明は、難しいので割愛します(笑)。ここで注意したいのが、山廃は冷やで飲むと癖が強く、食べ物を選ぶということ。正直、生酛(きもと)系のお酒は好き嫌いがはっきり分かれるお酒でもあります。

    ただ、お燗にするとバランス良く整います。また、お燗の温度によっても味のバランスが変わってきます。ここで言うバランスというのは、酸味や苦味などのことです。

    これは、アルコールが飛んだというわけではなく、味わいのバランスが変化した、という感じです。まろやかになったことで料理には合わせやすくなったと思います。湯煎をして、お鍋につけるとお料理に合わせる幅が広がります。

    酸味などの個性がなくなったわけではなく、旨味が増してバランスが整う、ということですね。

    ● 職人気質の“おっかさん”がつくる純米「旭鶴」(写真左)

    こちらは千葉県佐倉市の旭鶴酒造がつくる「旭鶴」というお酒です。芳香なタイプの辛口のお酒です。ご家族で経営なさっているような蔵元さんで、杜氏はまさかのお母様。大事な工程はすべてお一人で担っていらっしゃいます。細かい分量などレシピの部分でも独特の感覚と個性を用いて作業をなさっていますから、他の人には関わらせないという杜氏さんならではの気質ですね。

    このお酒は「辛口純米酒」に分類されますが、キムチの味に合うと思います。芳香でボディがあってピリッときます。こうした個性を持っているお酒は、辛いものに合うと思いますよ。

    − いやぁ……ここに鍋があれば、すぐにそのマリアージュを試してみたいところです。取材にならない気がしますが(笑)。

     

    お家に1本用意しておきたい、抜群のコスパを誇る銘柄は?

    ― ちょっと趣向を変えて。例えば、夜遅くに帰宅して軽く一杯、という日常使いにオススメな日本酒などありますか?

    青砥:うーん……ちょっと待ってくださいね!

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    ● 石川県「竹葉 能登上撰」(写真左から3番目)

    石川県の「能登上撰」ですかね。2,000円を切るリーズナブルな価格で手軽に飲めるお酒です。良い意味で派手さはありませんが、柔らかく飲みやすいので、日常飲むお酒としては良いと思います。

    日本酒好きで、いろいろなお酒を飲んできた方などは能登上撰に落ち着かれる方も少なくないですね。熱燗にすると、普段飲みたい安心感があると思います。熱燗のコンペティションでも数々の賞を受賞しています。派手ではありませんが、合わせる料理は選びません。

     

    安いお酒でもお燗にすれば、高級感を味わえる。

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    青砥:お燗をすると料理に合わせやすくなるので、日本酒を料理に合わせるなら、とりあえずお燗にしてみるのも一つの手段だと思います。お酒を温めると、アルコール臭さが消えて旨味が出てくるので、圧倒的に飲みやすくなるんです。

    先ほど紹介した、「山廃」のようなお酒は熱燗に向くと思います。温めることによって、個性的な部分である苦味・酸味・雑味が旨味を縁取ってくれるようになりますか、料理とのバランスも取れると思います。

    例えば、普段、家で飲んでいるようなお酒で、少し料理に合わないかな?と思ったら温めてみるのも一つの手だと思います。味のバランスが整います。

    ただ、暑い日には冷たいものが飲みたい、お刺身にお燗はちょっと、という感覚もあると思いますので、そこは皆さんにお任せします。料理は五感で楽しむものですから、その時の感覚や雰囲気・シーンなんかによってお燗で飲むか冷やで飲むか、選んで決めてください。

     

    自宅でお燗をする際のポイント

    青砥:お鍋に入れて丁寧に温める、ということもできますが、もちろんレンジでも手軽にできます。まずは肩肘張らず、気軽に楽しんでいただくのが良いと思います。

    お鍋で温める際のポイントとしては、冷蔵庫にしまっている場合、まず常温に戻すこと。そして、ゆっくりとじわじわ温めるのがコツです。

    レンジで温める場合は全体に熱を浸透させなければいけないので、徳利のクチの部分にアルミホイルを被せておくとベターですね。まぁ、とにかく肩肘張らずに、好きに楽しんでもらえればと。

    (※アルミホイルがレンジの内壁につかないよう、ホイルの端を徳利に密着させることが重要。お使いの機種によってはホイルが使えないレンジもあるので、取扱説明書を確認するようにしましょう)

    本当に美味しく飲みたい、というときはお店に来てください。飲食店にはプロがいますから、一本の酒にかける作り手のこだわりやストーリー、そのお酒が生まれた背景を知った上で楽しむというのも乙なものではないでしょうか。

    日本酒は温度でその表情が一変します。そこにストーリーが加わることで、さらに味わいが深まっていくのではないでしょうか?味はもちろん、やっぱり体験が大事。その体験によって美味しさも変わりますから。

    − ありがとうございました!ますます日本酒が好きになりそうです!

     

    編集後記 〜体験も含めて美味と呼ぶ〜

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    取材後、すぐに「竹葉 能登上撰」を購入しました。後日、届いたお酒を燗にして飲むと。これが美味い。毎晩の楽しみの一つになっているのですが・・・何かが物足りないと感じていた時、青砥さんの言葉がよみがえるのです。

    「味はもちろん、やっぱり体験が大事。その体験によって美味しさも変わる」

    誰と飲むか、どこで楽しむか、そこが大切なんだろうなぁと。鍋をつつくように、誰かと同じ時間を共有する、同じ酒を共有する……これほど幸せな体験はありません。

     

    以上、31歳・独身の担当者がお送りしました。あぁ、彼女ほしい……。

     

    ※お使いのレンジの機種によってはホイルが使えない場合もありますので取扱説明書をご確認ください。またホイルが電子レンジの内壁に触れないよう、

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