Q. 築30年の物件を1000万円かけてリノベーションすると、付加価値はどれくらい?
▼質問者:60代男性
マンション投資を行っており、築30年以上の物件のリノベーションを検討しています。
ここで気になるのが、どの程度のコストパフォーマンスを発揮できるかです。物件の条件などによって全く違うのはわかるのですが、まだリノベーションを扱ったことがなく、どの程度の相場設定にすれば良いのかがわからない状態です。
1室1000万円程度の室内リノベーションを行った場合、どの程度の付加価値をつけて販売できるものでしょうか。物件は東京都のあきる野市近郊で、駅から徒歩10~15分圏内を想定しています。
A. 不動産の査定価格の決め方と、賃貸に出した場合の賃料収入の面からお答えします。
▼回答者:30代女性(不動産業従事者)
■不動産の査定価格の決め方
リノベーションをすることによってどのくらいの付加価値をつけて売却できるのか、という問題について考える場合、まずは不動産の査定価格がどのように決まるのか、という点について理解しておく必要があります。
不動産の査定価格を決める方法として最も一般的なのはが、「取引事例法」という方法です。この方法においては同じ程度のマンションや近隣物件の取引事例を探し、その相場を参考に査定価格を決めていくのです。
しかしリノベーション物件の場合、この方法ではその物件本来の価値を評価することができません。 そこで利用されるのが、「収益還元法」です。この方法においては、その不動産から生み出されることが予想される利益を元にその査定額を算出していきます。つまりこの方法では、物件の収益力が高くなればなるほどその査定価格が上がっていくわけですね。 ちなみに投資対象としての物件については、この方法が利用されることが多いようです。
■リノベーションをすることで生み出される利益が増える
今回のケースにおいて「不動産から生み出されることが予想される利益」とは、マンションを賃貸することで得られる賃料収入のことをいいます。
収益還元法によると不動産価格は、 【不動産価格=1年間の収益÷還元利回り】 という計算式によって算出されます。 そうすると、1年間の収益、つまりその不動産を賃貸した場合に得られる賃料が上がれば上がるほど、不動産の査定価格も上昇するということになります。
ここで重要になってくるのが「リノベーションをした」という事実です。立地条件などによって違いはありますが、リノベーションをした場合、その後の想定家賃は5?10%程度アップすると言われています。 今回はご予算1,000万円でのリノベーションということですので、例えば想定家賃が5%アップしたという場合、現在の想定賃料よりも5%アップした賃料をもとに不動産価格を算出し、販売できるということになります。
1000万円かけてリノベーションをしたのだからその分上乗せできる、という簡単な話ではありませんが、リノベーションをすることでその物件の収益性を高め、その分だけ付加価値をつけて販売するということは十分に可能です。
※上記は個人の見解にもとづく回答です。詳しくは各種専門家にご相談ください。